優秀な人材を確保するために、NECは10月から研究職を対象に、新卒年収が1000万円を超える可能性がある給与を支給すると発表した。これが技術・研究系の職場に衝撃を与えている。
大学時代の論文が高い評価を得た新卒者を対象にしていて、これまでの年功序列とは全く異なる破格の厚待遇となる。年功序列が主流である日本企業の中では、異例の取り組みだ。裏を返せば、能力のある人材を生かす給与体系に変えていかないと、グローバル競争の中では勝てない状況になりつつあることを表している。
ソニーは新入社員が730万円
AI(人工知能)、バイオテクノロジーなどの先端技術分野では、優れた研究者のアイデアが製品化につながる。そのため、大手の技術系企業は将来のヒット商品の開発につながるような「金の卵」を、のどから手が出るほど欲しがっているのだ。
ソニーは6月から、AIなどの分野で高い能力がある新入社員を優遇する新しい制度を始めた。同社では役割(グレード)に応じた等級制度が導入されていて、その役割に基づいて給与水準を決めている。新入社員にはこれまで、一律に入社2年目の7月から「グレード」を付与していたが、採用の競争が激化していることから1年繰り上げて実施することになった。
つまり入社後、優秀な成績を残した新入社員は、最短で1年目の7月以降、「グレード」を付与される可能性があり、それが給与にも反映されることになる。その結果、新入社員でも年収730万円に届く水準となり得るのだ。
今回の制度改正では、新入社員の横並び運用を脱し、できる人、任せられる人にはその役割に応じてグレーディングするものであるため、社内での競争意識が高まるとみられる。
ソニーと言えば1979年にヒットしたウォークマンを皮切りに、新しいライフスタイルを提案してきた。同社では新規事業を行う部署を設けて、新商品につながることを促してはいるが、まだ花が開いてはいないのが現状だ。今回の新制度がソニーの新たな商品に結び付くかどうか注目したい。
中略
「雇用の仕組み変えないと『3流国』に転落」
こうした日本企業の変化について人事制度に詳しいパーソル総合研究所の櫻井功副社長は危機感を強める。
「NECなどが求めているデジタルトランスフォーメーション人材と呼ばれる人たちの給与は査定で決まるものではなく、マーケットバリューで決まってくる。技術系の企業はこうした人材がいないと生き残れない時代になっており、高給を出してDX人材を取ろうとするのはやむを得ない。
いま日本企業は、仕事における貢献度の低い人も含めて、終身雇用・年功序列の人事給与体系から、年齢や年功に関係なく職務のマーケットバリューに応じて給与を支払うジョブ型給与体系に徐々に変わろうとしているが、なかなか変われていないのが実態だ。
なぜならサラリーマン社長である大手企業の経営者、役員の多くは旧来の日本型雇用における『勝ち組』であるため、その制度に関する課題意識が低いだけでなく、自分の代でリスクを取ってまで人事組織の大改革をやることに強いインセンティブがないからだ。だが、世界の大半の国がジョブ型の制度の下で、能力のある人材を最大限、力を発揮させようとしており、同じ人材をマーケットで取り合う日本企業は、今の雇用の仕組みを変えていかないと、世界から取り残された『3流国』に成り下がってしまう恐れがある」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190912-00000023-zdn_mkt-bus_all&p=1
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1568273285/