国内で今春に商用化される高速通信規格「5G」の次の世代となる「6G」をめぐり、早くも世界で主導権争いが始まった。総務省は27日、2030年ごろの実用化をにらみ、官民による有識者会議の初会合を開いた。5Gの技術開発や商用化で遅れた日本は失地回復をめざす。米中なども研究開発を始めており、足元で大きく開いた差を埋めるのは容易ではない。
有識者会議の座長に就いた東大の五神真学長は「競争力のある国内の基礎技術を見極め活用していく」と指摘した。会議は経団連や消費者団体の幹部、全国知事会長ら10人で構成し、6G開発に向けた戦略を立案していく。29日に立ち上げる作業部会にはNTTや東芝の関係者が入り、技術面から検討を進める。
6月をめどに最初の取りまとめをし、21年度予算の概算要求に支援策を盛り込む。国連の専門機関の国際電気通信連合(ITU)や民間の標準化団体「3GPP」での標準化の議論を見据え、数年間は継続する見通し。
総務省が検討を開始するのは、世界で6Gに向けた動きが表面化しているためだ。中国政府は19年11月、6Gの研究開発の開始を発表。研究の推進に責任を持つ政府系機関に加え、37の大学や研究機関、企業からなる技術的組織を立ち上げた。華為技術(ファーウェイ)の梁華会長は6Gに関して「研究チームを任命した」と発言している。
米国でもニューヨーク大や国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が無線とセンサー技術の研究拠点を設置した。米連邦通信委員会(FCC)も「テラヘルツ」と呼ぶ高い周波数の電波の研究利用を認めた。
通信分野で規格に関わる特許を持つと、機器やソフトウエアで巨額の利益をもたらすため、各国が開発にしのぎを削る。サイバー創研によると、5Gの標準規格に関する必須特許は韓国のサムスン電子が全体の8.9%で首位。中国のファーウェイ、米クアルコムなどが続き、日本勢は5.5%のNTTドコモの6位が最高だった。携帯基地局の日本勢の世界シェアはNEC、富士通とも1%以下まで落ちた。
日本の通信関係者は6Gを語る際に「ゲームチェンジ」という言葉をよく使う。5Gまでの高速大容量化の深掘りだけなら挽回は難しいが、省エネやセキュリティーといった国内企業が強みを持つ技術が生かせれば挽回できる余地があるとみているためだ。
NTTは回線から端末までの通信や情報処理を電気信号を使わずに光だけで実現する「IOWN(アイオン)」という構想を提唱している。電気信号への変換をなくすことで消費電力を100分の1に減らせるという。米インテルやソニーとも提携して開発を本格化し、30年代の導入をめざす。ドコモも空中や海中、宇宙まで通信エリアを拡張する6G構想を示している。セキュリティーの面では東芝やNECが強みを持つとされる量子暗号技術に期待がかかる。
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引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1580125429/