https://jigensha.info/2019/03/17/hasanmap/
巷では「破産者マップ」というサイトが話題である。
官報に掲載された破産者の住所・氏名等を地図上にマッピングしたもので、その生々しさから怖がれつつも「見入ってしまう」ということでアクセスが殺到している。
都市部は地図上にマークがイクラの如く表示され、これほどまでに破産者が多いものかと驚かされるが、掲載された当事者からは削除要請が殺到し、
集団訴訟をしようという動きまで起こっているようである。
そこで、同様に多数の個人情報を掲載した「住所でポン!」創設者である筆者が、自身の経験からこのサイトから情報を削除できる可能性について解説する。
法的手続きはおすすめできない
出オチになってしまうが、削除することはかなり難しい…というか絶望的と言ってよいかも知れない。
特に、民事・刑事での法的手続きは実効性がないと考えられる。それは次の理由によるものだ。
① 発信者の特定が極めて困難 ―仮にサーバーが日本国外にある場合、あるいはこれから移された場合、児童ポルノやあからさまな著作権侵害と違い、
完全に合法的にサービスを運営できる国は多数あると考えられる。
例えばアメリカの各州でこの種のサイトが規制され、現地の司法当局の協力が得られるような例を筆者は知らない。
誰がやっているのか分からなければ、そもそも法的措置が取れない。そして、仮に発信者が特定できても次のハードルが立ちふさがっている。
② 少なくとも著作権法違反ではない ―著作権法上、官報には著作権はないと考えられている。
また、これが例え民間の出版物でも、単に個人情報の羅列という「情報」に過ぎない場合は、著作権法の保護の対象にならないと考えられる。
これは、過去の朝日新聞からある種の事件の内容を抜き出してまとめたものを出版しても朝日新聞の著作権を侵害することにはならないのと同じ理屈である。
③ 名誉毀損罪にあたらない可能性が高い ―刑法上の名誉毀損罪は「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず」成立するが、
「公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったとき 」は罰しないとされる。
誰が破産したということは前者に該当する可能性があるが、官報に掲載されていることなので後者に該当する可能性がある。
そもそも、官報に掲載すること自体が 「公然と事実を摘示 」する行為であるし、
官報の内容を流用することを名誉毀損罪として摘発すれば官報で公示することの意義が根底から覆されてしまうと考えられる。
引用元: http://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news/1552824722/