【シリコンバレー=佐藤浩実】ビデオ会議「Zoom」を運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは18日から、会議で利用するデータセンターの地域を選べようにする。米国などの会議で中国のデータセンターが使われたという指摘に対応する。15日に会見したエリック・ユアン最高経営責任者(CEO)は「透明性を高める機能をさらに増やしていく」と述べた。
有料プランの利用者を対象に、使う可能性があるデータセンターの立地を選べるようにする。米国や日本などの利用者が25日までに自ら選ばなかった場合は「中国」を自動的に外す。
ズームをめぐっては4月初めに、カナダ・トロント大学の研究所が米国―カナダ間の会議で使う暗号鍵の生成に中国のデータセンターが使われたと指摘。一部の利用者からも警戒する声が出ていた。ズームは利用の急拡大に対処するため誤って接続したと説明していたが、改めて対策を打つことにした。
ズームは新型コロナウイルス感染を防ぐ外出制限により利用者が1日2億人に増え、それに伴ってセキュリティー面の課題も露呈した。90日間は安全性対策に集中するとしており、米フェイスブックなどIT(情報技術)企業のセキュリティー部門を歴任した専門家を招いた。善意のハッカーに依頼して脆弱性も見つけてもらう。
セキュリティーをめぐる指摘が相次いだ3月下旬から4月初めにかけて、ズームの株価は3割近く下落した。ただ対策を相次ぎ打ち出すことで回復しつつあり、15日の終値は20年の年初と比べて2.2倍の151.56ドルだった。
2020/4/16 6:35
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58111120W0A410C2000000/