国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が14日発表した2019年の半導体製造装置の世界での販売額は、前の年に比べて7.4%減の597億5000万ドル(約6兆4300億円)だったと発表した。半導体メモリーメーカー向けなどの出荷が減り、4年ぶりに前年実績を下回った。新型コロナウイルスの感染拡大で20年の世界市場の先行きも不透明感が出ている。
世界での販売額の減少は世界3位の市場である韓国向けの低迷が響いた。韓国市場ではサムスン電子などがメモリー向けなどの投資を手控えたため、44%の大幅減(販売額は99億7000万ドル)となった。
一方、世界首位の台湾市場は半導体受託生産で最大手の台湾積体電路製造(TSMC)向けなどが伸び、68%増の171億2000万ドルとなった。19年末に次世代通信規格「5G」関連の投資が増え、半導体の回路線幅を数ナノ(ナノは10億分の1)メートルまで狭める「微細化」に向けた高額装置の販売が好調だった。世界2位の中国市場も3%増えた。
新型コロナの感染被害の広がりで、20年の世界販売も縮小する公算が大きい。JPモルガンの調査によると、世界の製造装置向けの投資額は19年比で4.2%減少するという。
20年以降は5G関連の投資が増えるため製造装置市場は拡大するとみられていたが、スマートフォンの需要低減や半導体の部品供給網の寸断により、製造装置の一部投資時期の先送りが懸念されるためだ。21年に世界最大の製造装置市場になる見込みだった中国では、装置の工場への搬入の遅れや技術者の不足が深刻化している。
米アプライドマテリアルズなど製造装置メーカーも一部工場での稼働を停止している。東京エレクトロンなど日本の製造装置メーカーは工場が国内に集中しているため、現状では生産に大きな影響を受けていない。ただ、「他国の製造装置の出荷停止が長期化すれば、日本からの出荷も顧客から止められる可能性がある」(JPモルガン証券の森山久史氏)との見方もある。
2020/4/15 14:44
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58075540V10C20A4TJC000/