次世代の通信規格である5Gは従来の無線通信に比べて高速大容量・低遅延・多数同時接続がうたわれていますが、「気予報の精度が30%低下するかもしれない」という懸念があるなど、その実現には数々の議論が伴います。その懸念の1つが、高周波数帯「ミリ波」の使用について。5Gは従来の2Gから4Gまでのマイクロ波に加え、波長が1-10mm、周波数が30-300GHzのミリ波を利用しますが、ミリ波への短期曝露は「末梢神経系、免疫系、および心血管系に有害な生理学的影響を与える可能性がある」と、主張する研究者もいます。またミリ波は長距離通信の信頼性が劣るため、小規模なアクセスポイントを大量に設置しなければなりません。このような健康リスクについて、懸念の声が挙がっていました。
そんな中で、ドイツに本拠を置く非営利科学組織・The International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection(ICNIRP/非電離放射線防護に関する国際委員会)は新たに、1998年に設置された無線周波電磁界の曝露保護に関するガイドラインを更新し、5Gが基準を遵守している場合、過度の健康上のリスクはないと発表しました。
ICNIRPは有害な非電離放射線から人や環境を守るために科学的なアドバイスとガイダンスを行う独立した組織。ICNIRPは今回のガイダンス更新のため、中波放送やDAB、Wi-Fi、Bluetooth、3G、4Gといった既存の技術と同様に5Gからの保護について7年間研究を行ったとのこと。
ICNIRP議長のEric van Rongen博士は「コミュニティの一部が5Gの安全性について懸念していることを理解しています。更新されたガイドラインが人々を安心させるために役立つことを願っています」「新しいガイドラインは関連する科学論文・科学ワークショップ・広範囲の国民の意見の聴取をへて作成されました。5G技術は100kHzから300GHzの周波数への暴露が与える科学的な悪影響に対して保護を行っています」とコメント。
5G曝露に関連する2020年ガイドラインの主な変更は6GHzを超える周波数に関するものとなっています。ミリ波を使う5Gや6GHz帯での接続はガイドラインが発表された1998年には予想されていなかったためです。
携帯通信事業者の業界団体・GSMAのディレクターであるJack Rowley博士はガイドライン更新について「最も重要なのは、(ミリ波を想定しても)根本的な健康リスクは変わらなかったということです。1998年に作られた制限がまだ保護機能を発揮します」と語りました。
https://gigazine.net/news/20200316-5g-safe-radiation-watchdog-health/
5Gの電磁波が人体に与える影響について専門家が警告
https://gigazine.net/news/20191104-5g-wave-risk/
世界保健機関の国際がん研究機関(IAR)は、2011年に無線周波放射を「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」と(PDFファイル)分類しました。アメリカで行われた毒性試験プログラム(NTP)は、携帯電話による無線周波放射への曝露によって雄のラットのがんが増加し、雌雄のラットとマウスのDNAが損傷したという研究結果を(PDFファイル)発表しています。
2011年以降に公開された、ヒトおよび動物の研究および機構データを含む研究に基づいて、IARCは最近5年以内に無線周波放射を再検討することを優先しています。多くのEMFの科学者が「無線周波放射がヒトにとって発がん性がある」と信じていることから、IARCは近い将来、無線周波放射の発がん性をより高いランクに変更する可能性が高いといわれています。
引用元: http://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1584362084/