アメリカのトランプ大統領は2019年5月に「情報通信上のリスクがある外国製品の取引を禁止する」という大統領令に署名し、中国の電子機器メーカーであるHuaweiを排除する動きを強めています。そんな中でHuaweiは知的財産やイノベーションに関するホワイトペーパー(白書)を2019年6月27日に公開し、知的財産権を政治利用する動きに対する懸念を表明しました。
Huaweiの上級副社長兼最高法務責任者である宋柳平氏は、ホワイトペーパーの公開と同じ6月27日にHuawei本社で記者会見を行いました。宋氏は記者会見において、知的財産権はイノベーションの基礎となるものであり、政治問題化することはイノベーションを阻害すると指摘しました。
「政治化が知的財産権を政治の道具として使えば、特許保護制度の信頼を破壊することになるでしょう。一部の国の政府が選択的にある企業をその国の知的財産権保護制度から排除すれば、世界のイノベーションの基礎を壊すことになります」と宋氏は述べ、企業間における知的財産権の争いはあくまでも司法の場で争われるべきだと主張しています。
ホワイトペーパーの中でHuaweiは、知的財産権の保護こそがHuaweiの成功につながったとしています。Huaweiは2018年末の時点で8万7000件近くの特許を保有し、そのうち1万1000件以上はアメリカで登録されたものだとのこと。また、2015年以来14億ドル(約1500億円)もの特許ライセンス収入を得た一方で、60億ドル(約6500億円)を特許使用料として支払い、他社の知的財産権を保護していると主張。この特許使用料のうち80%は、アメリカ企業に対して支払われたものだそうです。
宋氏は「Huaweiが他者の知的財産権を尊重して協調してきたことは、Huaweiが開発した技術的発明が他社製のスマートフォンなどに組み込まれている点からも明らかだ」と述べています。今後もHuaweiは知的財産権を「武器」として使用することはなく、知的財産権に対するオープンかつ協調的な姿勢を維持するとのこと。
記事作成時点でHuaweiは知的財産権に関する争いをアメリカ企業と繰り広げており、2019年1月にはアメリカの通信企業大手であるT-Mobileから機密情報を盗み出した疑いで刑事訴追されているほか、Huawei自身もアメリカの通信企業大手のVerizonに対して10億ドル(約1080億円)を超える特許使用料を要求しています。
そんな中でアメリカ共和党のマルコ・ルビオ上院議員は2019年6月、Huaweiを含むアメリカ政府の監視対象となっている企業が、アメリカの法律に基づいて特許侵害の提訴といった救済措置を求める行為を禁止する法案を提出。Huaweiのホワイトペーパー公開や宋氏の記者会見はルビオ上院議員の動きに反応したものであり、企業間の知的財産権争いに政治が介入することをけん制しています。
2019年06月28日 12時30分
https://gigazine.net/news/20190628-huawei-white-paper-intellectual-property/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1561696073/