KDDIは、当時入社2年目だった20代社員が2015年9月に自殺したことを受け、2018年5月に労働基準監督署により労災が認定されたことを発表した。同社では、働き方改革の実行と健康経営を推進するとしている。
自殺した社員は、1カ月あたり90時間を超える時間外労働時間が確認されたという。また、仕事の内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があったこと、さらに上司とのトラブルがあったことが認定され、これら複数の出来事から強い心理的負荷があったと判断された。同社は労働基準監督署から、長時間労働およびサービス残業に関する是正勧告を2017年9月に受けている。さらに、該当社員にかかるサービス残業についての是正勧告や労働時間管理・メンタルヘルス対策の改善についての行政指導を2018年6月に受けていた。
これらの勧告を受け、全社員を対象に未払賃金の有無を調査し、2017年11月に賃金の未払が判明した当社社員4613名に対して総額約6億7000万円の未払い賃金を清算するなど、労働基準監督署からの勧告・指導に対応している。また同件の原因については、社員の労働時間の適正な管理ができていなかったこと、抜本的な長時間労働の問題解決に取り組む意識が社内で醸成されてこなかったことを挙げた。
同社では、社員からの申告なしに社員の心身の不調を把握することが難しいという従来の体制について、さらなる改善の余地があったと認識していることから、再び同様のことを起さないため、経営陣自らが前面に立って働き方改革を実行し、健康経営を推進するとしている。2017年1月には総務・人事本部長を委員長とし、全本部長を委員とする「働き方変革推進委員会」を立ち上げ、長時間労働と過重労働の抑止に取り組んでいる。同委員会は、毎月1回必ず開催され、全社における社員の労働時間と長時間労働の是正にかかる課題を共有。生産性向上にかかる提言・議論をしているとのこと。
具体的な取り組みとして、36協定の特別条項に定める年間所定外労働時間の上限を、2017年度までの720時間から540時間に短縮する内容で36協定を締結したほか、ビル入退館時刻および業務用PCのログオフ時刻などの客観的記録に基づき、社員の労働時間・在館時間を適切かつ正確に把握できるようにシステム開発などの環境整備を実施した。
また、部下を持つ上司に対し、部下の労働時間・在館時間を適切に把握するべく、指導・啓発をしているという。加えて、労働時間を過少申告されるリスクを考慮し、勤務終了後に事業場内に留まることを、目的を問わず禁じ、業務終了から30分以内に退社することを全社でルール化した。さらに、社員の心身の健康を重要な経営課題と捉え、社員ひとりひとりの健康を組織で支える健康経営を推進すべく、社員の健康保持・増進の積極的支援など、健康経営に取り組んでいるという。
労災認定の一要因となった「上司とのトラブル」については、従来から所属長向け研修や、申告窓口の整備、社員に対するフォロー体制の整備などをしてきたが、これらに加えてさらなる改善を図るため、不調の予兆のある社員を申告がない段階でも発見して早期に対応すべく、2019年1月に「働き方改革・健康経営推進室」という専担組織(2019年4月時点で約60名在籍予定)を設置した。
同組織では、社内カウンセラーが全社員の面談を定期的に実施するなどの取組みを進める体制を構築。これにより、不調の予兆のある社員を、社員からの申告のない段階でも発見し、医療職や所属長と連携。不調の予兆のある社員に会社側から早期に対応する体制を整備した。働き方改革・健康経営推進室は、各職場の上司とは異なる視点で、トラブルの有無を含めた職場環境を早期に把握し、改善する役割を果たすとしている。
https://japan.cnet.com/article/35135051/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1554121315/