Windows 10ではセキュリティ更新プログラムや年2回の大規模アップデートプログラムなどは自動的に更新される仕組みが導入されています。しかし、この自動更新プログラムによって作業に影響が生じたという不満を持つユーザーは多く、特にHomeエディションユーザーは仕組み上、不意のアップデートを回避しづらい状況にあるため、「Microsoftは機能・仕組みを見直すべき」とセキュリティ専門家が指摘してます。
今回、Windows 10の自動アップデートプログラムによる不具合に関する論文を発表したのはユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのジェイソン・モリス教授らの研究チームです。研究チームは93人のWindows 10 Homeエディションユーザーを対象にWindows 10 バージョン1803以降の更新プログラムの利用実態について調査しました。
なお、研究者によるとWindows 10の自動アップデートプログラムが適切に機能するかどうかは「ユーザーとシステムの特性」に依存するとのこと。以下のフローチャートはMicrosoftが想定する「普通のユーザー」をベースにして決められた自動アップデートの処理内容ですが、多種多様なユーザーに対してあまりにもシンプルに過ぎると研究者は指摘しています。
アンケート調査の結果、Windows 10のアップデート方法自体については「以前のWindows OSに比べると改善されている」と考えているユーザーは多かったとのこと。以前のWindows OS利用者のうち53%が「Windows 10の方が更新が簡単だ」と感じているのに対して、難しくなったと考えているのは8%だけにとどまったそうです。また、Windows 10の更新プログラムによって「中断が少なくなった」と回答したユーザーも半数以上を占めていました。
しかし、実際にWindows 10の自動アップデートによって不具合を体験したユーザーの声はあり、その原因はMicrosoftが採用している、更新を保留するためにあらかじめ指定しておく「アクティブ時間」が不適切なせいだと研究者は指摘しています。
不意なアップデートを避けるために自動更新による再起動を制限するために指定するアクティブ時間ですが、研究者によるとユーザーへの認知は進んでいないとのこと。アクティブ時間の機能を知っていたのは28%に過ぎなかったそうです。
さらにアクティブ時間はユーザー自身の利用状況に合致させることが望ましいのに、ビジネスユースではなく家庭用の個人ユースでの利用が多いHomeエディションのユーザーに、アクティブ時間はデフォルトで「8時~17時」に指定されており問題が生じているとのこと。また、アクティブ時間の機能自体を知っていた26人の被験者の中で、アクティブ時間が適当でなかったために日々の利用時間と自動更新が衝突したにもかかわらず、アクティブ時間をデフォルトから実際に変更したのは10人にとどまったそうです。
特に、Windows 10 Homeエディションには「(自動更新にともなう)再起動が保留中である」旨の警告が表示されないという制限があるため、特定の時間に再起動するオプションを選択しているユーザーの場合、タスクに集中している場合に突如として予期せぬ再起動が始まるように見えるため、ユーザーに混乱を招いていると研究者は指摘しています。
いずれにせよ調査結果として回答者の約半数が「予期せぬ再起動を経験した」と回答したことは問題であり、Microsoftは自動アップデートプラグラムの改善が必要だと研究者は考えています。そもそも、更新プログラムが配信される頻度をユーザーが理解していないこと、毎月のWindows Updateと半年ごとにある機能アップデートプログラムの違いを理解していないことをMicrosoftは認識することが必要であり、インストールに時間がかかり不具合が起こりやすい年2回の大規模アップデートの必要性自体を見直すべきではないかという指摘もあります。
https://gigazine.net/news/20190228-windows-10-auto-update/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1551344383/