ヤマダ電機90%減益の衝撃
原因はビジネスモデルの転換か
ヤマダ電機が発表した今年4-9月期の連結決算が波紋を呼んでいる。前年同期と比較して純利益が90%も減少してしまったからだ。そして悪いことに、同じ時期に同業他社は軒並み好決算ないしは、好業績見込みを発表している。
家電大手の競合では、エディオンは売上高5.3%増、ケーズデンキ(ケーズHD)は2.7%増、ノジマは5.1%増と、各社ともこの上半期の売上を堅調に伸ばしている。一方のヤマダ電機は、上半期の売上高も0.7%増にとどまっている。
今年の夏は猛暑で、エアコン特需があった。にもかかわらず、その波に乗り切れなかったことから「ヤマダ電機は大丈夫か?」と心配されているのだ。実はヤマダ電機は、2016年2月で月次情報の開示を止めるなど、IRには後ろ向きの企業である。だから、既存店の売り上げなどの詳細がわからない点も不安材料である。
とはいえ、今回の決算の明暗は、数字だけを見てわかるような簡単なものではないというのが私の見立てだ。先に私の結論を述べておくと、必ずしもヤマダ電機が「1人負け」ではないかもしれないのだ。その種明かしをする前に、まずは段階を踏んで状況を見ていきたいと思う。
まずは、今回の決算についてヤマダ電機がどう振り返っているかを見てみよう。簡単にまとめると、ヤマダの業績悪化はビジネスモデルの構造改革を進めているがゆえの減益だという説明である。
ヤマダ電機では、かねてよりインターネット通販の台頭などの要因から、家電量販店の売り切り型ビジネスモデルに限界が来ているということを認識している。そのため家電量販業界の中では、いち早くより成長性の高い住宅リフォーム事業への事業転換に力を入れている。
具体的には、脱家電を目指した新業態の「家電住まいる館」を立ち上げて、より幅広い住宅のリフォーム需要を取り込もうとしている。ただこのリフォーム事業を担うために買収した子会社群(ヤマダホームズに統合)を含め、まだ成長事業になるには時間がかかる模様である。
実際、今回発表された決算短信で純利益が9割減になった重要な要因は、特別損失として約40億円の減損を計上したことだ。決算短信の中ではその内訳を読みとることはできないが、買収したこれらの子会社の価値が純利益を大きく引き下げたということであろう。
ヤマダ電機の一連の構造改革で一定の評価をできるのが、家電の売り切りビジネスからの転換に向けた在庫の圧縮である。こちらは昨年の9月末と比較して、1年間で224億円も在庫を減らしている。
こちらは想像でしかないのだが、ヤマダ電機が今夏のエアコン需要を逃した理由も、この在庫圧縮に一因があるのだと思う。経営にとっては、ブレーキを踏みながらアクセルをふかすのは非常に難しいからだ。在庫圧縮に力を入れろと号令を入れれば、どうしても機会損失が発生しやすくなる。要するに、今年の夏の特需を見逃してでも体質転換を優先したというのが、ヤマダ電機のこの上半期の決算なのである。
恐るべき進化を遂げる中国家電
レベルの違う危機がやって来る
では、今夏の特需を取りこぼしたヤマダが「負け組」で、しっかりと需要を取り込んだエディオンやノジマが「勝ち組」だと考えていいのだろうか。
私は、日本の家電業界はこういった短期的な売上機会とはレベルの違う危機にあると認識している。今、日本の家電メーカーは世界の家電業界の潮流から大きく後れていて、それにもかかわらず、日本の家電量販店はその後れた日本家電ばかりを在庫で積み上げている。
一方中国の家電業界は、インターネットとつながるコネクテッド家電の時代に突入している。それを見据えてアマゾンは、中国の白物家電最大手のハイアールと手を組んで、新世代のコネクテッド家電の開発を進めている。
象徴的な例を挙げれば、それは次世代冷蔵庫である。アマゾンの人工知能「アレクサ」を搭載した冷蔵庫ならば、庫内に足りない食材をユーザーと読み合わせをしながら、買い物リストを個人のスマホに送ってくれるようになる。
以下ソース
https://diamond.jp/articles/-/184853
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1541757861/