総務省は18日、携帯電話料金の値下げなどに向けた有識者会議の第2回会合を開いた。市場の競争を促進するため、格安スマートフォン(スマホ)事業者から現在の競争環境の問題点をヒアリングした。携帯大手の回線を使うために支払う「接続料」の値下げや、「2年縛り」など大手による契約者の過剰な囲い込みの是正を求める意見が相次いだ。
格安スマホ事業者はNTTドコモなど大手携帯電話会社から回線を借りてサービスを提供している。その際に支払うレンタル料金である「接続料」の算出根拠が不透明で、キャリアが恣意的に高く設定しているのではないかという批判があった。
現在、携帯キャリアは前年度までの投資コストなどをもとに接続料を算出し、請求している。今回のヒアリングでは、将来かかるコストをあらかじめ予測し、それをもとに接続料を提示すべきだとの意見が相次いだ。
キャリアは最新の基地局への更新などで効率化を進めており、データ通信の単価は年々下がっている。将来のコストを基準にすれば、接続料は下がり、請求金額の水準も予想しやすくなるとの主張だ。
格安スマホは接続料の支払いが原価の多くを占めるビジネスモデル。「マイネオ」を運営するケイ・オプティコムの浜田誠一郎執行役員は「収入に対して、携帯大手に支払う接続料が非常に大きい」とし、「将来の見通しが分からないと、思い切った戦略が立てられない」と述べた。
また、算出式の透明化についての要望も出た。現行の計算式では、接続料は「適正な」原価や利潤をもとに決められる。ただ、どの投資を原価とみなすか、誰が「適正」と判断するのかなどがあいまいだ。テレコムサービス協会の島上純一氏は「(キャリアが計上している費用が)本当に原価なのか、検証していく必要がある」と話した。
接続料が下がれば、格安スマホは現状よりさらに安い料金でサービス展開できるほか、店舗網の拡大やCMなどに投資を充てやすくなる。利用者の獲得に大きな追い風となる。
菅義偉官房長官が8月、国内の携帯電話料金について「4割程度下げる余地がある」と発言したことで、携帯大手と格安スマホの競争促進にスポットライトが当たっている。総務省の有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」はその先陣に立つとして注目されている。
このほど就任した国重徹政務官も「携帯電話は不可欠なインフラで、研究会に対する国民の期待もたいへん大きい」と強調した。
今回の第2回会合では接続料のほか、長期間の契約を条件に月々の通信料金を安くする「2年縛り」と呼ばれる大手の販売手法にも批判が集まった。決められた更新期間を過ぎると再び自動で2年契約が結ばれる仕組みで、期間外の解約は違約金がかかる。利用者が通信会社を自由に乗り換えにくくなっており、過剰な囲い込みだとの批判が相次いだ。
楽天の大尾嘉宏人執行役員は「解約時の費用が高く、手続きも含めてがんじがらめになっている。利用者のスイッチングコストを下げるべきだ」と指摘した。
会合は格安スマホのほか、携帯大手などからもヒアリングを続け、2019年6月をメドに中間答申をまとめる計画だ。
総務省はこれまでも格安スマホの育成に力を入れてきた。ただ、大手が系列の格安ブランドなどを強化し巻き返したことで、競争による料金下落の機運はしぼんでいる。論点が多岐にわたるなか、競争促進に効果のある施策にどこまで踏み込めるかが焦点になる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36643110Y8A011C1X13000/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1539858911/