テレビと同じ番組をインターネットで流すNHKの「常時同時配信」が現実味を帯びてきた。ネットのみの視聴世帯に対する受信料新設も視野にNHKが平成31年度の実施を目指す中、政府の規制改革推進会議がまとめた答申が、「NHKの同時配信の是非について早期に結論を得る」と容認姿勢をにじませたためだ。実施に向けた布石が次々と打たれるが、肥大化による民業圧迫も懸念される。(大塚創造)
「今、受信契約を結んでいる方を対象に同時配信をスタートさせたい」。NHKの上田良一会長が7日の会見でそう述べたように、同時配信は開始時、受信契約締結世帯向けの付加サービスとして行う方針だ。契約が確認できないネットのみの視聴世帯には画面にメッセージを表示して制限する。しかし、将来的にはテレビを持たないネットのみの視聴世帯にも負担を求める可能性は極めて濃厚だ。
規制改革推進会議の答申を受けて今後は、総務省を中心に検討が進められる。同時配信実施には放送法の改正が必要となるが、昨夏以降、同時配信をめぐる動きは活発化している。
まず、NHK幹部が同時配信について、「将来的に本来業務」などと発言。さらに、NHK会長の諮問機関「NHK受信料制度等検討委員会」も、ネットのみの視聴世帯に対する受信料新設について「合理性がある」と答申した。
こうした動きに対し、NHKの肥大化を懸念する民放側は猛反発。その後、NHK幹部が「放送の補完」と火消しに走り、サービス開始時にはネットのみの視聴世帯に対する受信料を徴収しない考えも表明した。民放と視聴者に配慮した格好だが、NHK幹部の“本来業務発言”には受信料新設のもくろみが透けて見える。
NHKは受信料制度について、29年12月の最高裁判決で「合憲」のお墨付きを得ており、29年度末には受信料の支払い率も目標の80%を達成。32年度には受信料収入が7108億円に達し、過去最高を更新し続ける見込みだが、将来的には人口減に伴う受信料減は必至で、ネットのみの受信料新設は悲願といえる。
受信料で運営されているNHKが事業を次々と拡大して肥大化すれば、民業圧迫は避けられない。NHK検討委の答申によると、ネットのみの視聴世帯に対する新たな受信料は、スマートフォンやパソコンを持っているだけでは請求されず、受信アプリをインストールした段階などでの課金を想定している。しかし、テレビと同様に、その後はスマホなどを持っているだけで請求される可能性もあり、警戒が必要だ。
◇
立教大学名誉教授の服部孝章氏(メディア法)の話「テレビを見る人が減り、ネットを見る人が増える中、NHKの同時配信は受信料新設も見据えて保険を掛けているといえる。世界的に見ても年間で7千億円もの資金を集められる事業体は稀有(けう)で、地方局が疲弊してネットワーク維持に懸命な民放キー局にとって脅威だ。同時配信の是非をめぐる議論では、NHKが集めた受信料を、日本の放送、通信にどのように使って貢献していくのかについて、視聴者に丁寧に説明することが必要だ」
2018.6.9 21:38
http://www.sankei.com/entertainments/news/180609/ent1806090013-n1.html
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1528584947/