電子情報技術産業協会(JEITA)は22日、2019年度のパソコンの国内出荷台数が18年度比28.1%増の947万5千台だったと発表した。基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7」のサポート終了に伴う買い替え需要などで5年ぶりに出荷台数が900万台に達した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの普及は足元のパソコン出荷の追い風になっている。
19年度の出荷台数はデスクトップ型が前年度比43.1%増の257万2千台、ノート型が同23.3%増の690万3千台だった。米マイクロソフトがウィンドウズ7のサポートを終了したことに伴う買い替え需要で大きく伸びた。消費増税前の駆け込み購入もあり、19年4月から20年1月までは前年実績から2桁のプラス成長が続いた。
3月の出荷台数は前年同月比22.6%減の79万2千台。2月から2カ月連続で前年実績を2割以上、下回った。
ただし、これには理由がある。19年3月は新生活需要や年度前の買い替え需要などがあり、102万2千台と18年度で最も出荷が多かった月だった。この反動減が出た部分がある。2月出荷の50万2千台と比べれば、テレワークの拡大などで大幅に伸びている。
すべての小中学生に1人1台のパソコンを配備する政府の「GIGAスクール構想」も長引く休校措置に伴い、前倒しで完了される見込みだ。ウィンドウズ7関連の買い替え需要の反動で20年度は大幅な落ち込みが予想されていたが「テレワーク需要とGIGAスクール構想で需要の底上げが期待される」(JEITA)という。
一方で、今後の供給には懸念があり、足元ではパソコンの在庫不足が深刻だ。MM総研(東京・港)の中村成希執行役員は「供給が需要に追いつくか見通しにくい」と話す。新型コロナによるサプライチェーン(供給網)の乱れで部品調達などに混乱が生まれていることもあり、供給が今後安定するかどうかは不透明な状況が続きそうだ。
2020/4/22 15:24
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58350740S0A420C2X13000/