今回の「極言暴論」のタイトルを読んで「あれ、どこかで見たぞ」と思った読者がいるかもしれない。その通りだ。実はこれ、日経クロステックの連載コラム「テクノ大喜利、ITの陣」の2つ記事のタイトルにあった「社長が経営オンチ」「ITオンチのIT部長」から借用させてもらったものだ。
「社長が経営オンチ」のほうは、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのバイスプレジデントでコンサルタントの白川克氏の記事。「ITオンチのIT部長」のほうは日経クロステックの別コラムでも筆を振るう沢渡あまね氏の記事だ。それぞれの記事の主張には思わずうなってしまったが、タイトルのキーワードを組み合わせると、日本企業の大問題に迫れると気がついた。あまりにしっくりきたので、今回の「極言暴論」ではそれを書こうと思う。
ちなみに「テクノ大喜利、ITの陣」は私が取りまとめている。毎回、複数の識者にお題を投げかけ、それに答える形で論陣を張ってもらっている。識者には「いつも暴論をぶっている木村が後ろ盾になるので、思いっきり言いたいことを言ってくれ」とお願いしている。そのせいか、誰とは言わないが私以上に「暴論」に走る識者もいるので、ぜひ「極言暴論」と併せて読んでいただければと思う。
さて本題だが、私はこれまで「社長がITオンチ」とか「ITオンチの経営者」といった言い回しで、ITの重要性を理解しようとしない経営者を批判し、その結果として生じた日本企業の大問題を何度も斬ってきた。だが考えてみれば、「ITオンチの経営者」は言い回しでも何でもなく、当たり前の「事実」でしかない。日本企業の経営者がITオンチであることを当たり前の事実と言うのも悲しいが、事実をなぞっただけの「月並みな表現」であるのは間違いない。
一方、日本企業のIT部長については明示的にそう書いたことはないが、大概は経営が分からない。つまり「経営オンチのIT部長」である。だから経営者から相手にされず、執行役員の肩書をもらってCIO(最高情報責任者)として経営会議に出席しても一言も発しない「お地蔵さん」となる。その結果、IT部門は日陰の組織となり、老朽化した基幹系システムなどのお守りに忙殺される毎日となる。これはこれで大問題なのだが、やはり「経営オンチのIT部長」は当たり前の事実をなぞっているにすぎない。
ところが「経営オンチの経営者とITオンチのIT部長」との組み合わせで認識すると、一気に日本企業の問題の本質に迫れる。「経営オンチの経営者というのは『人と会うのが苦手な記者』というくらい違和感がある」と言った人がいたが、まさにその通り。その違和感ありまくりの経営者、そして違和感ありまくりのIT部長がセットでいたりするから日本企業は本当にまずい。まさに「経営オンチの経営者とITオンチのIT部長が企業を滅ぼす」である。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00148/031800106/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1584947671/