ソースコードを広く公開し、利用・修正・頒布も商用・非商用問わずに認めるオープンソースソフトウェア(OSS)は、コミュニティに参加する多くの人々に「益」を与える存在です。しかし、オープンソースのウェブブラウザであるFirefoxを開発するMozillaに勤務するプログラマーのIan Bicking氏が、「オープンソースは利益を生み出せないようになっている」と、自身のブログで主張しています。
Bicking氏の所属するMozillaは、今後数年間で収益を多様化させたいと考えています。しかし、その過程には「オープンソースだとお金にならない」という問題が立ちはだかっているとのこと。オープンソースとして世の中で広く使われるようになり、「成功を収めた」とされているOSSでさえ、ささやかな収益化にすら苦戦しているとBicking氏は指摘しています。
OSSはその名前の通り、ソースコードを無償公開していて修正も頒布も自由なため、「お金を払う」という方向に利用者の意識を向けることが困難です。
Bicking氏はオープンソースプロジェクトについて、開発者の中に暗黙の了解が広がっていると感じています。それは、「人々の役に立つ有益なものであれば、やがて収益化するチャンスが訪れる」というもの。精力を傾けてソフトウェアの開発を行い、ソフトウェアをオープンソースにして多くの人々に利益を与えたならば、これに報いる利益を得られると多くの開発者が信じています。
しかし、残念ながらBicking氏はこの考えについて、「人々は暗黙のうちに道徳的な期待を持ってしまっていますが、これは一種の公正世界仮説(人間の行いに対して公正な結果が返ってくるという考え)に過ぎません」と述べています。実際には、たとえOSSの開発によって多くの人々に恩恵を与えたとしても、それだけで持続的な収益を得ることは難しいとのこと。
もちろん、すべてのOSSがお金にならないわけというわけではなく、中には開発者に多額の利益をもたらしているOSSもあります。Bicking氏はオープンソースでありながらも収益を得る方法について、いくつかの候補があると主張しています。
◆1:アプリにして販売する
オープンソースであってもアプリにお金を払う人は一定数いるため、アプリ化して少しの収益を得ることは可能です。しかし、商業的なスケールアップを試みるにはより多くの資本が必要であり、大抵のオープンソースプロジェクトがその資金を得るのは難しいとのこと。
◆2:広告表示で収益を得る
広告表示で収益を得るのは多くの人々が考える方法ですが、OSSは再頒布も可能であるため、誰かが「同じソフトウェアの広告なしバージョン」を頒布する可能性があります。そこで、Bicking氏は「少額を支払うことで広告を表示しないバージョン」も同時にリリースすることで、わずかながら利益が得られるかもしれないと主張しています。
◆3:サービスをホストする
開発者自身がOSSを用いたサービスをホスティングするという方法は、サービスが有益であればかなりの確率で収益化に成功するとのこと。オープンソースのブログソフトウェアであるWordPressをホストするAutomatticのWordPress.comは、OSSをウェブサービスとしてホストして収益化する好例です。ソフトウェアだけでなく、サービスを提供することが強みとなります。
◆4:個人的な問題を解決する
人々は自身が個人的に悩んでいる問題を解決してくれるソフトウェアには、お金を支払う抵抗が少なくなります。一種のコンサルティング業務のようですが、多くのビジネスは人々の個人的な悩みに着目して生み出されています。
◆5:継続的にソフトウェアのために働く
OSSをリリースしてそれで終わりではなく、継続的にソフトウェアを改善したり修正したりすることで、人々がよりお金を支払いやすくなるかもしれません。ある意味で従業員のように働くということであり、この選択肢をリストに載せるのは不公平かもしれないとBicking氏は述べていますが、OSSの世界では比較的一般的な収益化手法です。
◆6:物理デバイスとペアにする
OSSそれ自体で収益化するのは困難かもしれませんが、デバイスと共に売り出すことで、人々はソフトウェアとデバイスを合わせた価値判断を行います。Googleは自社OSのAndroidをオープンソース化していますが、ほかのアプリやアプリストアを分け、デバイスに搭載する際にライセンス料を必要とすることで収益を得ています。
以下ソース
https://gigazine.net/news/20190320-open-source-doesnt-make-money/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1553253446/