日本の発展途上国化は、ワクチンだけではない。OECD(経済協力開発機構)が発表している年収ランキングでも、日本は30カ国中24位で、19位の韓国を下回っている。20年前まで、日本の賃金水準はG7トップだった。それがなぜG7最下位に転落したのか。最大の理由は産業政策の失敗である。既存産業にこだわり、日本が生み出す付加価値が増えないから賃金が上がらないのだ。
例えば、世界を支配してきた日本の家電産業は、もはや見る影もない。政府が音頭を取って、日立や東芝、ソニーの小型ディスプレイ部門を統合して誕生したジャパンディスプレイは、青息吐息の状況。日の丸液晶を守りたいという、財界と官僚の既得権へのこだわりが招いた結果だ。
このまま何も変わらなければ、日本人は海外旅行や留学に行けなくなり、日本の不動産は海外に買い占められる。そして、多くの国民が外資系企業で、低賃金で働かざるを得なくなるだろう。そんな時代になっても、大企業のエリートに処遇を合わせる官僚だけは守られるのだ。
日本は発展途上国に転落した~森永卓郎『経済“千夜一夜”物語』
https://news.nifty.com/article/item/neta/12311-1031799/
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