年収を自分で決められる「給与の自己決定制度」や、社外研修費用予算が無制限の「勉強し放題制度」など、変わった制度を取り入れる会社、ゆめみ。
モバイルサービスの開発・制作を手掛ける同社では、社員が学ぶことを奨励している。そのひとつとして今回、社員の知見を広げる機会を促すために、専門家を呼んで勉強会を開催する「LiberalArts LAB」を設立した。サービスを作るうえで、技術の向上はもちろん、他領域も学んでほしいという思いから立ち上げたそうだ。
勉強会では「建築」「宗教」「メディア」「アート」など幅広いテーマを扱い、テーマに沿った専門家が講義し、意見交換もできる。さらにゆめみの社員だけじゃなく、外部からも参加が可能で、なんと無料。
というわけで前回は、「AI時代のベーシックインカム論と組織論」と題した勉強会に出席。生活保護ではなく月7万円程度のベーシックインカムでカバーしようと説く、駒澤大学経済学部の井上 智洋准教授の話を聞いた。
今回は引き続き、AIとベーシックインカムの関連性や問題点を講義してもらったので、その説明をレポートしていく。勉強会の様子はすでに動画で公開されているので、合わせてご覧いただきたい。
中略
日本でも似たような状況が起きており、所得の分布で中間所得層(300~500万円の間)が減少。さらには低所得層が増えて、高所得層は増えておらず、格差が開いてきている。
その中で井上准教授は「これからクリエイティブな職業が増えていくと思う」と断言。そして、「仕事の内容面では楽しいことだが、所得分布でいうとクリエイティブ系は低所得が非常に多い」と述べる。早い話が、人気のYouTuberはごくわずかで、ほとんどは再生回数の伸びないYouTuberが占める状態になる。
事務職がなくなり、心機一転YouTuberやLINEのスタンプ制作を始めても、所得が少なければそれは雇用と言えるのか。「だからこそ、世の中を考えるとベーシックインカムが不可欠になっていく」と井上准教授は結論づけた。
お金を刷ってばらまけばいい
とはいえ問題点がないわけではない。よく言われるのは労働意欲の低下と財源だ。
井上准教授も2点に言及。まず労働意欲の低下については「この議論はあんまり意味がない」とする。たとえば給付額が月に40万円などの高額だった場合は会社を辞める人も出てくる。だが、月7万円程度(少額)であれば会社をやめないだろうという。
もうひとつ、オランダの歴史家ルトガー・ブレグマン氏による著書『隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働』(文藝春秋)の一説を引いて「人々が思っているよりも人間はだらしなくならない」と説明した。
財源に関しては、お金を持っている人たちに税金を課して払ってもらえるかどうか、だという。
仮に月に7万円給付する場合、だいたい100兆円の財源が必要で、児童手当や雇用保険などの政府支出を減らせることができても、64兆円は必要とのこと。ここで単純化のために、一律所得税のみを引き上げると25%上がるそうだ。
25%上がった場合、所得税の最高税率は70%になる。井上准教授は「これはかなりきつい」とし、「所得税だけでまかなうのは厳しい。(所得税の税率を下げるために)相続税を30%引き上げるとすると、相続税の最高税率は85%になる。これもかなり反対が予想されるが、私からすればこの高い税率が適用される層は残りの15%でやっていけるだろう」と話す。
さらに、「お金を刷ってばらまけばいいじゃん、という話もある」と続ける。「貨幣発行益という言い方があり、日本銀行がお金を刷った分だけ利益が出るはず。それをそのまま国民に直接還元すればいい」と展開した。
メリットの部分でも言えることだが、このあたりは反対意見が交わされる場ではなかったので、どれほど現実味のある話なのかは判断がつかない。井上准教授自身も「乱暴に聞こえるかもしれない」と言っていたので、もしかしたらちゃんとした議論が必要な部分なのだろう。
以下ソース
https://ascii.jp/elem/000/001/997/1997430/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1578046412/