新しい勘定系システム「MINORI」の全面稼働を1カ月後の2019年7月に控えるみずほフィナンシャルグループ(FG)。2011年に3つの勘定系システムの刷新・統合を決め、4000億円以上を投じた世界最大級のプロジェクトがゴールを迎えようとするなか、慣れ親しんだウオーターフォール型開発から脱却し、業務システム開発でもアジャイル開発を採用しようとする動きが出てきた。
「IT構造改革の名の下に、2018年からパブリッククラウドの活用やテストの自動化、ノンコーディングツールの導入、アジャイル開発の採用などが進んでいる」。みずほ銀行の福島亮一IT・システム統括第二部市場系システム推進チーム次長は「MINORI後」に向けた新しい取り組みをこう話す。
50人のトレーダーを支える操作画面、超高速開発とアジャイルで刷新
成果の1つが2019年9月に稼働を予定する、外国為替予約システムのWebフロントエンド(Webアプリケーションの操作画面)を刷新するプロジェクトだ。ノンコーディングツールすなわち超高速開発ツールを使いながら、みずほ銀ではまだ珍しい「業務系システムのアジャイル開発」に挑んだ。
外国為替予約システムはもともと画面を生成するアプリケーションと、約定を管理したり取引を執行したりする中核の為替決済アプリケーションを、それぞれ別のハードウエアで稼働させていた。画面生成アプリケーションの歴史は古く、1990年代に米マイクロソフト(Microsoft)の開発ツールで作って使い続けてきたが、ハードウエアの保守が切れることを機に刷新を決めた。
2018年8月に刷新の検討を始めた。まずIT資産を有効活用する観点から、Webフロントエンドのアプリケーションを為替決済アプリケーションのハードウエア上で稼働させることにした。Webフロントエンドのアプリケーションの再構築では「長年作り変えてこなかっただけに、どういう付加価値をつけて利用部門に提案するかをゼロベースで考えた」(開発主体であるみずほ情報総研の秋元清志銀行システムグループ市場・国際系システム事業部第1部次長)。
考えた末に提案したのが超高速開発ツールとアジャイル開発のプラクティスを用いた手法だった。ディーラー業務を支える重要な操作画面のため、基本的な機能は踏襲する一方で、「シンプルで直観的に操作できて、ある程度の分析機能がほしい」(みずほ銀の栗原調査役)といった要望にも応えたい。「設計から例えば1年後に完成するようなウオーターフォール型ではなく、利用者を巻き込んだ素早い開発手法が向いている」(みずほ情報総研の秋元次長)と判断したという。
利用部門のフロアにエンジニア30人が陣取る
刷新プロジェクトは2018年10月から基本設計に入った。秋元次長は「アジャイル的な取り組み」と表現する。要件定義やテストはウオーターフォール型で進め、詳細設計や実装にはアジャイル開発のプラクティスを導入したからだ。みずほ情報総研はみずほ銀以外の取引先ではアジャイル開発の実績はあるが、みずほ銀向けでの基本はウオーターフォール型だった。
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引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1560493444/