東芝は1日、米国の液化天然ガス(LNG)事業を仏エネルギー大手トタルに売却すると発表した。中国ガス大手と結んだ売却契約が破談となり、新たな売却先を探していた。LNG事業は巨額損失のおそれを抱えていた。譲渡額は1500万ドル(約17億円)。LNG事業を切り離して社会インフラなどに経営資源を集中し、再建を進める。
トタルのシンガポール子会社に2020年3月末までに売却する。東芝は売却に伴う一時金費用としてトタルに8億1500万ドルを支払う。東芝は20年3月期に売却関連費用を含めて約930億円の損失を計上する見通しだ。
東芝は13年、米テキサス州で手がけるLNG事業「フリーポート」に参入した。米国産のシェールガスをLNGに加工し、20年から20年間にわたり年間約220万トンを販売する権益を持つ。ただ中核事業ではないため、同権益を売却する。
仏トタルは国際石油資本(メジャー)の一角を担うエネルギー大手。同じく仏大手のエンジーからLNG資産を買収するなどして規模を拡大しており、LNGの世界シェアで約1割を持つ。オーストラリアのLNGプロジェクト「イクシス」にも参画しており、東芝が持つ米国の権益も取得することでLNGの調達先を多様化する。
LNG事業は販売価格の変動リスクが大きいうえ、東芝には安定的にLNGを供給する顧客基盤や発電所がない。東芝が参入した13年当時は東日本大震災後で、日本では原子力発電所が停止し、火力発電に依存する形でLNGの需要が高まっていた。ただ中長期的に資源価格は乱高下する恐れがある。東芝のLNG事業は、最大で1兆円近い巨額損失が発生する可能性があるとされてきた。
売却先の候補には米エクソンモービルや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなどが挙がっていた。19年度中に売却先を決める見通しだったが、早期の売却契約に至った。
当初は18年11月に中国の民間ガス大手のENNグループへの売却を決めていた。ところがENNの一部株主が事業リスクを懸念し、東芝からの事業買収について反対した。さらに米中当局の認可取得も遅れていた。
4月に入りENNが東芝に対しLNG事業を買収しないと通告。東芝もENNとの契約を解除することを決め、新たな売却先を探していた。
2019/6/1 9:38
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引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1559351721/