シャープの戴正呉会長兼社長はノートパソコンなどについても中国からの生産移転を検討することを表明した(写真は2017年3月撮影)
米国の対中関税第4弾は最大25%の関税を課す内容で6月末以降に発動される見通しだ。シャープ子会社のダイナブック(東京・江東)が手がけるノートパソコンは杭州市の自社工場を中心に中国で全量を生産しているが、第4弾が発動されれば、台湾やベトナムなどにあるシャープや親会社の鴻海精密工業グループの拠点への移管を検討する。「全体の1割程度が米国向け」(戴氏)という。
第4弾が発動されれば、複合機は江蘇省の自社工場で高速印刷できる上・中位機種を生産しているが米国向けについてはタイ工場に移す方針だ。同様に広告向けなどの大型ディスプレーも今は鴻海の中国工場で生産しているが、同社のメキシコ工場に移管する方針だ。
一方、戴氏はシャープの部品を除く最終製品の売り上げの中で「中国で生産する米国向けは3.8%しかない」と語り、影響は軽微であることを強調した。該当する製品の生産移管を迅速に進め、競合に対してコストメリットを発揮してシェア拡大につなげる。
また米国による事実上の中国・華為技術(ファーウェイ)への部品供給禁止規制について、シャープは現在、規制の対象になるかの調査を進めている。日本国内でもファーウェイ製スマートフォン(スマホ)の発売延期などの動きが生じているが、戴氏はこうした動きを「チャンスにもなる」と述べた。競合する携帯電話や携帯用ルーターなどでシェア拡大を目指す。
また戴氏は同日、自身の進退についても言及した。今年6月に鴻海精密工業の董事に復帰予定。「(董事の任期が続くため)2021年度まではシャープの会長職を継続する」と語った。社長職については「適当な人物がいたら引き継ぎたい」とし、20年度以降の交代を示唆した。後任は「できれば日本人から選びたい」とし、今後も幅広く社内外から候補者を募る。
また後継者育成の取り組みも強化する。戴氏と、野村勝明・石田佳久両副社長の3人が務めている共同CEO(最高経営責任者)については、今年7月から権限を拡大する方針だ。これまでは2千万円以下だった決裁権限を1億円以下まで引き上げる。他の共同CEOの担当分野についても戴氏自身は「業績が達成できれば、関与しない」という。より重要な経営判断を共同CEOに任せることで、後継者としての適正を見極める。
2019/5/27 15:21
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45309790X20C19A5000000/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1558952481/