IBM基礎研究所がアメリカのメリーランド州に本社を構える世界最大のスパイスメーカーであるMcCormickと協力してAIで新しいフレーバーや食品の開発を行っていると発表しました。40年にわたって蓄積されたMcCormickのデータを学習させることで、普通では考えつかない、けれど万人受けする味が作り出される可能性があります。
McCormickとIBM基礎研究所はAIに原材料・調味料・売上・トレンド予測・消費者テストのデータを学習させ、知覚科学、消費者の好みといったエリアの何億というデータポイントから新しいフレーバーの組み合わせを予測させるという試みを行っているとのこと。
AIを使った製品プラットフォーム「ONE」をMcCormickがリリースするのは2019年半ばになる予定で、アメリカの小売店に最初のシーズニングが並ぶのは2020年春頃とされています。このプラットフォームはAIの専門家であるIBMの機械学習と、McCormickが40年以上にわたって蓄積した知覚科学や味のデータを組み合わせたもの。「AIは、McCormickの製品開発者がより多くのフレーバーのポートフォリオにアクセスできるようにし、クリエイティビティを広げるものだ」とIBMは述べており、ONEプラットフォームによって、肉・野菜のいずれについても家庭好みのフレーバーを提供できるようになるとのことです。
これまでMcCormickの食品科学者・化学者・化学エンジニア・栄養士・料理人といった「開発者」はグレービーやマスタードといった「種の公式」と呼ばれる基本的なレシピから開発をスタートさせていました。学習を行ったAIは人気の出そうな「公式」を導き出す役割を担うことになりますが、McCormickの最高科学責任者であるHamed Faridi氏は、最終的な公式が決まるまでに50~150のイテレーションを行う可能性があると述べています。そして公式が確立したあと、ラボで専門家によるテストが行われ、その後消費者の元に製品が届けられます。全てのプロセスは2週間から6カ月で行われると予想されています。
Faridi氏はAIの使用によって製品開発の時間が短縮されること、そして2021年末までに全ての新製品開発にAIが使用されるようになるという計画を述べています。「製品をマーケットにいち早く届ける」ことは大企業の抱える大きな課題の1つです。AIを採用したとしてもレシピ開発者は「種の公式」を識別しなければならず、パラメーターを設定する必要があるかもしれませんが、フィードバックを繰り返していくうちにシステムは向上するはずだとFaridi氏は述べました。
IBMのRichard Goodwin氏によると、ピザのためのシーズニングを模索していた開発者にクミンを提案するなど、AIはこれまでのところ人間であれば文化的バイアスから考えつかないような組み合わせを導き出しているとのこと。ピザとクミンの組み合わせは奇抜だったものの開発者を納得させるフレーバーとなりました。一方で、米を使った新しいレシピ開発で、コンピューターは原材料のリストから米を取り除き、リストに塩を加えるという致命的といえるミスを犯すこともあったそうです。「とても風味のいい塩になりましたけど、開発者が求めていたものではなかったですね」とGoodwin氏は述べました。
https://gigazine.net/news/20190206-spice-company-ai-new-seasoning/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1549449226/