厚生労働省の毎月勤労統計調査についての特別監察委員会の報告書が出され、委員長の記者会見が行われた。
疑問も残るが、おおむね事実関係は明らかになった。焦点になっている東京都の大企業の抽出調査については次の通り:
・2003年5月22日付の事務連絡に「事業所規模500人以上の抽出単位においては、今回から全国調査でなく、
東京都の一部の産業で抽出調査を行うため注意すること」と書かれている。この事務連絡は雇用統計課長の決裁をへて
他部局にも公式に伝達されており、隠蔽の事実はない。
・当時の担当課長は「抽出調査としたことについて、覚えていないが当時自分が決裁したと思われる決裁文書を見たら
そのように残っていたのでそうなのだと思う。ただ、抽出していたとしても労働者数に戻す復元を行っていれば問題ない」と供述しているが、
この復元が行われた形跡がない。
・ システム改修を行った担当係によると「外部業者等に委託することなく自前でシステム改修を行うが、
毎月勤労統計調査に係るシステムのプログラム言語はCOBOLであり、
一般的にシステム担当係で COBOLを扱える者は1人又は2人に過ぎなかった。このため、ダブルチェックができなかった。
要するに問題は私が推測したように、2004年に東京都を抽出調査に変えたとき、データに抽出率逆数をかける復元を
システム担当者が忘れたバグに尽きるのだ。これはCOBOLで書かれた特殊なプログラムなので高齢者しか読めず、
そのミスがチェックできないので、去年まで誰もが「逆数をかけているもの」と考えて処理していた。
本質的な問題は、こんな些細なミスが14年間も放置されて統計に大きな影響を与え、失業保険などの給付に800億円も誤差が出て、
それを修正するには一般会計予算を修正する閣議決定が必要になるという霞ヶ関の事務処理システムの脆弱性である。
情報システムを役所の技官が、COBOLのレガシーシステムで構築するのも間違いのもとだ。
歴代の厚労相を国会に証人喚問するなどというスタンドプレーより、まず厚労省のコンピュータをオープンシステムに更新し、
事務処理を透明化して、第三者がチェックしやすい体制にすべきだ。
引用元: http://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news/1548238351/