総務省が携帯電話各社への義務づけを決めた端末料金と通信料金を切り分ける「分離プラン」で、端末販売の減少を懸念する声が携帯各社首脳から上がっている。分離プランでは、通信契約してもらうための端末値引きというこれまでの販促手法がとれなくなるからだ。KDDI(au)は新たな端末購入補助を検討する一方、ソフトバンクは家電などと同様に端末を金利付きの分割払いで販売することも検討する構え。通信料金と端末代金を合わせた月額負担がどこまで下がるか注目が集まる。
総務省は来年3月にも電気通信事業法の改正案を通常国会に提出し、早ければ夏にも分離プランを義務づける方針。分離プランは消費者にとって、通信料金が下がるメリットと、端末代金の値引きがなくなるデメリットがある。総務省が平成19年に分離プランを各社に促した際には端末販売は冷え込んだ。
KDDIの高橋誠社長は分離プランによって端末値引きができなくなることで、第5世代(5G)移動通信方式が本格的に開始する32年に「端末販売市場の流動性がなくなることを心配している」と言及。5G開始に伴う端末販売の活況が分離プランで阻害されることに懸念を示した。このため、ドコモの追随値引きを検討する来春以降、端末購入や通信契約と結びつかない新たな端末購入補助を打ち出し、端末市場を活性化させる考えを示した。
一方、ソフトバンクの宮内謙社長は「端末を安く売る動機はわかない。通信料金とくっついているから端末を安くしていた。今後は端末できっちりと利益を取らざるを得ない」と断言。端末料金の分割払いに金利を課すほか、端末値引きのための販売店への補助金を撤廃する可能性を示した。
ドコモの吉沢和弘社長は分離プラン導入による通信料金値下げを発表した10月末、端末値引きが受けられなくなっても、新たな通信料金の値下げで月額負担は軽減されるとの見通しを示している。「民間の知恵」による通信料金値下げと端末販売市場の活性化の両立を模索している形だ。(大坪玲央)
2018年12月26日 07時26分
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