岡田事務局長は、約180人の合格者を前に「この景色が見たかった」と叫んだ
G検定の成績優秀者らと写真に写る松尾豊東京大学特任准教授(前列右から6人目)
「皆さんが、ディープラーニング(深層学習)を世界に広げる役割を担ってください」。東京都内で開いた合格者の集いで、JDLAの岡田隆太朗事務局長はこう叫んだ。これまで2回行った試験では合計3495人が受験し、1959人が合格している。この日は、大手システム開発会社や飲料メーカー、AIスタートアップの開発者など約200人が一堂に会した。
JDLAは、東京大学の松尾豊特任准教授が理事長を務める一般社団法人で、AIスタートアップのアベジャ(東京・港)の岡田陽介最高経営責任者(CEO)や、ブレインパッドの草野隆史会長などが理事に名を連ねる。
問題意識は、「AIをブームで終わらせない」の一点につきる。深層学習が何が得意で何ができないのか。技術を扱う上では基本的なことを民間企業の役員などに伝える。G検定が狙うのは企業の上層部など、AIをビジネスに使う側だ。「仕事を発注する側のリテラシーが上がればいいと思う」(松尾特任准教授)
こうした取り組みは産業界にも波及している。マーケティングやプロモーション事業の西川コミュニケーションズ(名古屋市)は、社員数百人に情報通信機構(NICT)のAI白書や深層学習関連の書籍を読ませ、G検定を受けさせているという。大手自動車部品企業も、技術の見極めができる目安となるG検定を社内で重視し始めた。「工場などをIT(情報技術)化した時に、専門家に任せすぎて失敗したことが背景にあるようだ」(岡田事務局長)
過去2回のG検定では、受験者の半数以上をシステムエンジニア(SE)やIT技術を扱う人だった。しかし問題意識を持つ一般企業の社員の合格者も多い。大手飲料メーカーの経営企画・財経本部の課長職の男性は「業務効率化などに生かしたい」。最近まで保育士だったという杉本美緒さんは「AI関係の仕事をする父の手助けになれば」と半年足らずの猛勉強でG検定に合格した。
情報技術に触れてこなかった人にとってAIにつかう数式や深層学習のアルゴリズムはとっつきにくい。しかしJDLAをはじめとした普及活動で少しずつ裾野が広がってきている。 (矢野摂士)
2018/7/20 14:59
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33203070Q8A720C1000000/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1532067679/