中略
「カッコつけないで行ける」店
筆者のコメダ取材歴は10年以上になる。『日本カフェ興亡記』(2009年、日本経済新聞出版社刊)という著書を上梓するため、まだ店舗数300店台だった同社の取材を始めた。当時は東京都大田区に出店(2007年)していたが全国的には無名に近い存在。ただし名古屋での知名度は抜群で、地元在住の40代のビジネスパーソン(取材時)はこう話した。
「コメダのよさは、変にカッコつけないところ。仕事やプライベートで改まった話をする場合はともかく、地元の友人などと一緒のときは普段着感覚で使える」
いま振り返ると、このコメントはコメダの本質をついていた。「カッコつけない店」だったからこそ、コメダは全国展開でき、全世代が使える店になったのだ。メニューでもカッコよさは打ち出さない。たとえば「ピッツア××」ではなく「コメダ特製ピザ」となっている。
それは創業者の加藤太郎氏(現珈栄舎社長)のめざした道だ。「コメダは、喫茶店を自宅の居間や会社の応接室の延長線上で使う名古屋のお客さんと向き合ってきた」と話した加藤氏は、コメダの役割を「気軽に飲食できて、くつろげる場所」と位置付けた。以前の取材では「コメダは喫茶業の業態を取っているが、その本質は“貸席屋”」とも語った。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180622-00225019-toyo-bus_all
続きを読む