パナソニックは、国内トップシェアを持つ業務用監視カメラの製造部門を売却する方針を固めた。中国メーカーの台頭で値崩れが激しく、成長が見込めないと判断。製造からは手を引いて、顔認証などソフトウェアの開発に力を入れる。買い手には複数の投資ファンドが名乗りをあげている。
関係者によると、パナソニックは30日に売却のための入札を開き、米投資ファンドのカーライルグループやベインキャピタルなど複数社が応じた。売却金額は数百億円程度とみられる。
パナソニックは、業務用監視カメラを佐賀工場(佐賀県鳥栖市)と中国・蘇州でつくり、日本や米国で売っている。売却は蘇州の工場が対象で、佐賀は他の製品に切り替えていく。
防犯や警備対策として需要のある監視カメラだが、中国メーカーなどが安値を掲げて参入し、販売価格はここ2年で5~10%下落。パナソニックは国内で4割のシェアを誇るが、海外では1割程度にとどまっていた。このため、採算がとりにくいカメラ製造をやめ、顔認証や人工知能(AI)を活用した画像解析技術の開発に集中する。自動運転にも応用できる技術を磨くことで、電気自動車(EV)用電池などとともに、自動車メーカーに売り込んでいく考えだ。
監視カメラの生産技術はすでに確立されている。市場関係者も「カメラに使われるソフトウェアの開発に注力し、更新し続けたほうが将来性がある」(証券会社幹部)との見方が多い。(神山純一)
2018年5月31日05時15分
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