東洋経済 ONLINE 2018年05月07日
https://toyokeizai.net/articles/-/219236
「ボンッ」。2015年10月のある朝、突然の爆発音に驚いたAさんは、音がした寝室へと駆けつけた。
ベッドの上で充電中のノートパソコン(PC)から吹き飛んだ電池が、火柱を立てて燃えていた。
とっさに水をかけたが、火の勢いは増すばかり。枕を押し付けて消火できたときには、寝室の壁は黒焦げ、
ベッドは穴だらけという惨状だった。Aさん自身も、電池から跳ね飛んだ液体で手足に重度のやけどを負った。
「自宅にいたのですぐ消火できたが、不在時だったら、と想像するとぞっとする」(Aさん)。
国内外33件で発火事故が発生
発火したのは、購入して1年半のパナソニック製のノートPC「レッツノート」に搭載された、
同社製のリチウムイオン電池だ。パナソニックのノートPCの発火事故は、今年3月までに
国内外で33件発生。Aさんの場合と同様、多くが充電中に起きている。
これまでに発表されたリコールは計5回。直近3月下旬には2011〜2018年に製造されたPCを対象に、
同期間の出荷台数の約2割となる116万台のリコールを発表した。
パナソニック側は原因不明の事故もあるとしながらも、「製造過程で電池の正極と負極の間に
ごく微細な金属片が混入した。劣化した電池の内部の圧力が充電時に高まった際、導電性の高い金属片が
ショートを引き起こした可能性が高い」と説明する。
(中略)
「燃えない電池」の研究が進む
高い性能と安全性を両立させる方法はないのか。一つは、電解質を固体化することで液漏れがない
「全固体電池」の活用だ。トヨタ自動車が2020年代前半の電気自動車(EV)への搭載を目指して
開発を進めるほか、韓国や中国など、世界中で開発熱が高まっている。
ただ本当に高い性能を発揮できるかは未知数だ。材料の中には、空気中で有毒ガスを発生させる
硫化水素を含むなど、量産技術確立のハードルは高い。また、「性能テスト中に試作品が燃えた」
(試験装置メーカー関係者)との報告もある。“夢の電池”と見るのは時期尚早だ。
そこで、電解質は液体のまま、燃えない電池を作る研究も進んでいる。前出の山田教授ら
東大などの研究チームは2017年、「絶対に発火しない電池」の開発を発表。電解質には引火点がない
難燃性の材料を用い、200度以上に温度が上昇すると、気化して発生した蒸気が消火機能を果たすという
画期的なもの。「現在の延長線上にある製造技術で作れるため、企業からの引き合いはある」(山田教授)。
1991年に製品化されて以来、今や生活に不可欠な存在となったリチウムイオン電池。
モバイル機器のみならずEV用としても主流になったが、万が一爆発したら人命にかかわる。
便利さの裏にある危険性への対処は、喫緊の課題だ。
(全文は記事元参照。全3ページ)
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1525749371/