――アベノミクスの7年8カ月で日本人は豊かになったのでしょうか。
あまり豊かになったとはいえない。潜在成長率が上昇していない。潜在成長率は、リーマンショック時の2008年、09年にゼロ近傍にまで低下した。その後持ち直すが、ピークの15年前後でもリーマン前の2000年代前半の1%弱の水準を回復していない。現在は0.5%前後だ。
14~15年以降、高齢者、女性、外国人が労働市場に入ってきた。このことは潜在成長率の構成要素の一つである労働投入にプラス要因だ。しかし、同じく構成要素の一つである全要素生産性は10年前後の1%から低下が続き、今は0.2~0.3%だ。
ほぼ完全雇用の状態にあった18年においても、国と地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の対GDP(国内総生産)比率は、マイナス2%。逆の面から言うと、財政赤字なしには完全雇用を維持できないということだ。
物価上昇率も政府と日本銀行が共同声明で掲げた目標の2%に届いていない。デフレ脱却も、財政健全化もできず、潜在成長率も低下したままというのが、アベノミクスの結果だ。
――7年8カ月の実績に見るべきものはなかったということですね。
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https://diamond.jp/articles/-/250934
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