先進国で中間所得層が縮小し経済成長を妨げかねないとして「各国政府は中間層の支援を強める必要がある」とする報告書を経済協力開発機構(OECD)が公表した。所得の伸びを上回るペースで住宅価格や教育費などが高騰しており、今後ロボットや人工知能(AI)に職を奪われる恐れも強まっているという。
OECDは10日公表した報告書で、日本など17カ国で所得(中央値)が2016年までの約20年間で3割伸びる一方、住宅費は約2倍になり、教育費も4割増えたと指摘した。上位10%の高所得者層の所得は約30年間で6割増えたが、下位20~40%の低所得層では3割増にとどまり、格差が拡大している実態が明らかになった。
中間層は職の不安定さにも直面している。ロボットやAIの活用で業務が自動化される可能性が高い職業に就いている人の割合は、中間層が約18%、高所得者層は11%だった。
2010年代半ばの主要国世帯に占める中間層の割合は61%で、30年前に比べて3ポイント減少した。国別の縮小幅はスウェーデンが7.4ポイントで最も大きく、イスラエル(6.7ポイント)やフィンランド(5.8ポイント)が続いた。ドイツは5ポイント、米国は4.3ポイント。日本は中間層の割合の集計には入っていない。
中間層は、所得が中央値に比べて75~200%の世帯。OECDは中間層を支えるため、住宅購入を支援する減税や、課税対象を所得から資産・相続にシフトさせることが有効だとした。中間層の存在は「経済成長の基盤だ」として、社会への信頼向上や犯罪率の低下につながるとも指摘した。
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引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1555729747/