米国の市場調査会社ガートナーがこのほど公表したスマートフォン販売統計によると、今年(2018年)7~9月の世界販売台数は3億8900万台で、1年前から1.4%増と小幅な伸びにとどまった。
世界的にスマートフォン市場の成長が鈍る中、中国勢が販売台数を伸ばしており、首位の韓国サムスン電子に大きな打撃を与えているという。
サムスン、過去最大の落ち込み
7~9月のメーカー別出荷台数ランキングを上位から見ると、サムスン、中国ファーウェイ(華為技術)、米アップル、中国シャオミ(小米科技)、中国オッポ(広東欧珀移動通信)の順。
このうち首位のサムスンの台数は1年前から14.3%減少。同社は今年4~6月も同12.7%減少していたが、7~9月は減少幅が拡大。ガートナーが統計を取り始めてから最大の落ち込みとなった。
サムスンは、今年3月に発売した旗艦モデルの「Galaxy S9」「同S9+」と、8月に発売した「同Note 9」で需要回復を狙ったが、苦戦を強いられたとガートナーは指摘している。また、中・低価格帯製品分野では、中国の大手メーカーがインドなどの市場でシェアを拡大している。これら中国メーカーは、アジア太平洋地域以外の市場でも勢力を伸ばしており、サムスンから販売機会を奪っているという。
ファーウェイは、今年4~6月に販売台数がアップルを上回り、初めて2位に浮上した。そしてこの7~9月は、1年前から43.1%増え、2位を維持した。
ファーウェイは大中華圏でナンバー1のスマートフォンブランドであり、欧州の多くの市場でトップ3に入っている。これに加え、中東、アジア太平洋、アフリカなどの新興市場で積極的な投資を行っており、ブランドや販路の拡大を図っている。これにより今後も、ファーウェイと首位サムスンとの差は縮まっていくと、ガートナーは予測している。
そして、もう1つの中国メーカーであるシャオミも好調だった。同社の7~9月の販売台数は1年前から23.7%増加。前述したとおり、この7~9月の世界スマートフォン販売台数は、1年前から1.4%増加した。しかし、もしファーウェイとシャオミが存在しなかったら、台数は5.2%減少していたと、ガートナーは指摘している。
(参考・関連記事)「世界一目指す中国スマホメーカー」
アップル、成長鈍化の中国市場で苦戦
一方、アップルの7~9月における販売台数は、1年前から0.7%増と、ほぼ横ばい。同社は、高価格帯端末の市場が飽和状態にあるという状況に直面している。また世界最大のスマートフォン市場である中国が成長鈍化状態にあり、同国でライバルメーカーとの競争が激化している。
2018年モデルである「iPhone XS」と、同じく2018年モデルで、過去最大の画面サイズとなった「同XS Max」が成否のカギを握るという。ガートナーの初期の調査では、XS Maxの販売台数がXSを上回っている。このXS Maxはシェアが低下している中国市場で、重要な意味を持つモデルだとガートナーは指摘している。
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