インターネット閲覧の主な情報端末がパソコンからスマートフォン(スマホ)に代わっても、ネット閲覧の主役は「ブラウザー」だ。閲覧に加え、様々なアプリを動かす基盤としての役割も担うようになり、重要性が増している。スマホでのネット閲覧や、ゲームを動かす目的に適合したブラウザーを提供する企業が増えている。
現在、地球上で最も多く使われているブラウザーは米グーグルが開発し無償で配布している「クローム」だ。
米ネットアプリケーションズによると、パソコンからのウェブ閲覧の61.6%が「クローム」だ。2000年代まで主流だった米マイクロソフトの「インターネットエクスプローラー(IE)」のシェアは11.9%まで後退している。「クローム」はモバイル端末でも62.9%のシェアを持つ。米アップルの「サファリ」が26.9%で続く。
■OSとセットで提供が基本
ブラウザーは基本ソフト(OS)とセットで提供され、スマホのOSに付随したブラウザーを使う人がほとんどだ。このためOS開発企業とブラウザーで競争するのは難しいが、挑む企業が増えている。2014年に設立されたノルウェーのヴィヴァルディ・テクノロジーズはその1社だ。
米フェイスブックからの個人情報流出などを受け、データの取り扱いに敏感になる消費者は少なくない。ヴィヴァルディはあえて利用者の履歴を追跡できないように、データを蓄積しないブラウザーを提案している。
「ネット広告企業すら気持ち悪いと感じるほど、ブラウザーが個人データを集めていることに驚かされた」。同社の共同創業者の冨田龍起最高執行責任者(COO)は、前職でのデータ収集の状況を振り返る。
もともと冨田氏はブラウザー業界で草分け的存在だったノルウェーのオペラ・ソフトウェアの社員だった。14年にオペラはネット上のソフト開発者コミュニティーを閉鎖、ソフト開発を縮小しネット広告に事業の軸足を移した。
そこで冨田氏が目にしたのが、様々なネット閲覧者のデータが集められ、企業間で共有され広告ビジネスに使われる現実だ。この経験から「個人情報の扱いに留意したブラウザーを作ろうと決意した」と冨田氏は話す。
14年にオペラ創業者のひとりであるヨン・スティーブンソン・フォン・テッツナー氏らとヴィヴァルディを設立した。利用者の嗜好などを分析せず、追跡もしない。ゲーム好きやエンジニアが使いやすいような機能を盛り込んだのが人気を呼び、サービスを開始後約4年で利用者は世界中で100万人まで増えた。
ヴィヴァルディの前身とも言えるオペラ・ソフトウェアが開発するブラウザーも一定の支持を得ている。スマホ向けの「オペラ ミニ」は、ネット閲覧時の通信量を抑えられる機能や広告のブロック機能、高速な画面表示機能などが、通信速度やデータ量に制限が多い格安スマホを利用する消費者をひき付けている。広告ブロック機能を持つ米モボタップが開発する「ドルフィンブラウザ」も人気だ。
■「2ちゃんねる」が育てた国産
国産のブラウザーでは「2ちゃんねるが育てたブラウザー」として知られる「スレイプニール」が代表的存在だ。
ソフトウエア開発のフェンリル(大阪市)の柏木泰幸社長が学生時代、夜な夜なソースコードを書いて完成させた。「新機能を加えた時のネット掲示板での利用者の反応を見るのが楽しかった」(柏木氏)
その後、05年にフェンリルを設立。システム受託事業など他分野のサービスで稼いだ利益を元に「スレイプニール」の改善にいそしんでいる。
アスツール(東京・渋谷)が開発した「Smooz(スムーズ)」も、スマホ向けブラウザーとして評価が高まっている。加藤雄一社長は03年に新卒でソニーへ入社。MDの部門に配属されたが携帯音楽プレーヤー「iPod」のブームでMD需要が急減、材料のキャンセルなど後ろ向きの仕事を任された。この経験から「ハードは難しい。小さな組織で大きく生むソフトウエアで生きよう」と決意。16年にアスツールを設立した。
Smoozは使いやすさにこだわった。片手で操作できるようジェスチャー操作に対応。人工知能(AI)機能を組み込むことで、見たいと利用者が思うニュースを表示できる。目標は「自ら考えるブラウザー」(加藤社長)だ。
Smoozはビジネスモデルにも知恵を絞る。ブラウザーは今も昔も無償配布が主流だ。ソフトの販売を収益源にするのは難しく、ブラウザーの開発費を他の事業の収益に頼る企業が多い。
以下ソース
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34230390W8A810C1X13000/
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1534579078/