現代ビジネス 2018.04.26
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55423
4月3日、世界最大の音楽ストリーミング配信サービス「Spotify(スポティファイ)」が
ニューヨーク証券取引所に上場した。ストリーミングによって、世界の音楽市場はどれだけ回復したのか?
アーティストはビッグデータをどう活用しているのか? 『ヒットの崩壊』著者で音楽ジャーナリストの
柴那典さんが考察する。
急成長を遂げる世界の音楽市場
今、世界全体の音楽市場が大きな成長を見せている。そして、日本だけがそこから取り残されている。
国際レコード産業連盟(IFPI)の発表によると、2017年のグローバルな音楽市場は前年に比べて8.1%増加し、
約173億ドルとなった。
2015年の3.2%増2、2016年の5.9%増3に続き、3年連続で市場が拡大。さらなる大幅増となり、過去10年で最高額を記録した。
この数字は、1999年以降落ち込みを続けてきた音楽市場が2014年を底に明らかな回復期に入ったことを示している。
各国の音楽業界の発表もそれを裏付ける。
特に活況を呈しているのが世界1位の市場規模を持つアメリカだ。RIAA(全米レコード協会)の発表によれば
売り上げは前年比16.5%増の86億2000万ドル(約9064億円)。
イギリスも好況で、BPI(英国レコード産業協会)によれば売り上げは前年比10.6%増の8億3940万ポンド
(約1276億円)。どちらもおよそ20年ぶりとなる高い成長率を示している。
ヨーロッパ主要国ではドイツが微減となっているが、その他は軒並み拡大傾向。前年比17.9%増となった
ブラジルなど南米各国も急激な成長を見せ、前年比35.3%増の中国、前年比47%増の韓国、前年比60.8%増のインドなど
アジア諸国にもデジタル音楽市場が勃興している。
一方、日本レコード協会が発表した「日本のレコード産業2018」によれば、日本の音楽市場は前年比3%減の
2893億円となっている。
【主要国の2017年の音楽市場】
アメリカ:86億2000万ドル(約9064億円、前年比16.5%増)
日本:2893億円(前年比3.0%減)
ドイツ:15億8800万ユーロ(約2100億円、前年比0.3%減)
イギリス:8億3940万ポンド(約1276億円、前年比10.6%増)
フランス:5億8300万ユーロ(約772億円、前年比3.9%増)
つまり、いまや日本の音楽業界は、各国で大きな成長を見せるグローバルな音楽市場の足を引っ張る存在と
なっているのである。
どうしてこうなったのか。
ビジネスモデルの変化についていけない日本
拙著『ヒットの崩壊』にも詳述したが、理由としては、レコード産業のビジネスモデルの構造的な変化に
日本の音楽業界が乗り遅れたということが大きい。
グローバルな音楽市場の成長を牽引しているのは、SpotifyやApple Music、Google Play MusicやAmazon Musicなど
音楽ストリーミング配信サービスの世界規模での普及だ。
前述のIFPIの発表によると、ストリーミング分野の売り上げ高は前年比41%増の66億ドル。いまや世界全体の
音楽市場の38%を占めている。
この急成長がCDの売り上げ減をカバーし、全体を押し上げた形だ。
なかでもアメリカでのストリーミング配信の拡大は顕著だ。2017年のアメリカの音楽売り上げにおける
ストリーミングの売り上げは57億ドルと前年比42.5%増を記録。売り上げにおけるシェアは65%に達している。
(続きは記事元参照。全3ページ)
引用元: http://egg.5ch.net/test/read.cgi/bizplus/1524713262/