名古屋地判2022年10月5日である。国賠事案ではあるものの、要するに一方当事者がパトカーであるという単なる交通事故事案であった。
判タ2023年7月号(通巻1508号)掲載。
さて件名であるが、この事案では、本訴被告である愛知県側のパトカーが赤信号進入にあたり、サイレンを鳴らしていたかが争点の一つであった。サイレンを鳴らしていなければ緊急自動車扱いされないからである。
被疑者でもあった運転手警察官は、事故翌日の実況見分でサイレンを鳴らしていたと主張した。また、パトカーのドラレコには音声ファイルが無かったが、愛知県側は、監察官室配属の警察官にして被告側指定代理人でもあった人物名義の報告書で、「録音機能は使用していなかったので最初から音声ファイルは無い」と主張した。
ところが、裁判所がバイナリデータを確認してデータが「整いすぎている」と疑問視したことから、裁判所に於いて愛知県側に人為的な消去等について釈明を求めたところ、愛知県側はサイレンを鳴らしていなかったと認めるに転じたという。ついでに、提起済みの反訴も取り下げて、0:100を争わない姿勢に転じたという経過である。
https://www.kanaoka-law.com/archives/1433
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